《シャドウラン Q&A》

このQ&Aは日本語版および原書第2版を対象にしています。

【1】エッセンス・ゼロ

Q.
エッセンスが0となった場合のペナルティはありますか?
A.
ありません。但し、0未満になると死んでしまいます。
(補足)
 エッセンスを削ることによって、人は(人工的ではありますが)様々な能力を身につけることができるわけです。特にその体の総てを武器とするストリートサムライであれば、自身の体を極限まで改造したくなる気持ちも分かるような気がします。
 しかしその一方で、エッセンスを0、もしくは0に近ずければ近ずけるほど以下に示すようなデメリットを受けることになります。
・魔法で治癒する際の目標値が上がります。
・追加でサイバーウェアを埋め込む際の手術が難しくなります。
 (この手術は、残念ながら基本ルールではサポートされていません。)
・エッセンスが0未満になる(要するに死ぬ)可能性が高くなります。
 (クリッターの中にはエッセンスを吸い取るやつもいますし、死ぬようなダメージを受けた時、運が悪いとエッセンスが減ることもあります。)

【2】魔力

Q.
魔力は召喚に関係しますか?
A.
召喚にはありません。但し、精霊の消滅(バニッシュ)には関係します。
(補足)
精霊の召喚ではマジックプールも使えませんし、ドレインの抵抗は魅力の能力値のみで行います。また呼べる精霊のフォースとドレイン・レベルの関係もやはり「魅力」との比較で行います。
ただし、精霊の「消滅」を行おうとするばあいのみ、相手の精霊の抵抗の目標値が術者の「魔力」となります。
また「消滅」において精霊に抵抗されてしまうと「魔力」を失っていき、0になると気絶します。ただし、この魔力は一時間に1ポイントの割合で回復していきます。

【3】アストラルに関して

Q.
アストラル投射している人が偵察にでて、相手が電話で話している声とかは聞こえるのでしょうか?
A.
これは追加サプリメント"Grimoire II"で明確化されました。
結論から先に言えば、話している当人の声は聞こえますが電話の相手の声は聞こえません。
アストラルから得られる情報はその感情やムードがメインであるからです。
肉声で内容が聞き取れるのはほぼ唯一の例外です。またアストラルから「顕現」することにより会話をかわすことも可能です。しかし機械を通じた音声はノイズにしかなりません。
なお直筆の手紙の場合、その内容をアストラルから読みとる事は出来ませんが、書いた者の感情は読みとれます。が、コピーや端末の画面などは感情を感じとる事もできません。
補足説明:顕現(visible)
これはやはりGrimoire IIによるものですが、アストラル投射をしている魔法使いは物理世界に姿をあらわし、生身の人間などと会話を交わすことが出来ます。
ただし、精霊などの実体化とは異なり、物理世界に影響を行使することはできません。逆に物理世界から影響を及ぼされる事もないものと考えられます。
これにより、アストラル偵察はかなり便利なものとなります。

【4】キャラクター作成

Q.
「レーティング6の制限」とは何ですか?
A.
キャラクター作成時のレーティングが、6を越えることはできないというルールです。(『キャラクターの作成』(44~47ページ)を参照)
技能、装備、呪文などのうち、プレイヤー側でレーティングを決定できるものが対象になります。
(補足)
 技能は集中化/専門化をする前のレーティングが6を越えてはいけません。
 呪文は、単独呪文や呪物使用呪文にした後のフォースが6を越えてはいけません。
 収束具のレーティングは6を越えてはいけません。
 サイバーウェアのレーティングも同様です。なお、スキルソフトの場合は技能と違って、集中化/専門化に関係なく、そのソフトのレーティングが6を越えてはいけません。
 装備のうち、レーティングが固定されていないものも制限の対象になります。例をあげれば、バグ・スキャナー、マグロック、ジャマー、ショットガン・マイク、スラップ・パッチ、ケムスーツなどです。(メモリのMpと元素精霊召喚素材のフォースは、固定値ではありませんが、6の制限の対象外です)
 また、『舞台の裏側で』の章の『装備を使う』(194、195ページ)に、電子妨害/対電子妨害(ECM/ECCM)のルールがありますが、このレーティングも6を越えてはいけません。

 さらに、弓の最低筋力が6を越えてはいけないとする解釈もあります。弓を使う場合は、事前にマスターに確認を取ってください。

 なお、能力値の場合は、サイバーウェアや魔法などの修正を加える前の初期値が、「種族の上限」で制限されます。(種族の上限は、種族修正を適用する前のポイントの上限を6として算定されていますので、6の制限に従っているとも言えます)

【5】サイバーアイ

Q.
目を改造して低光量対応や熱映像対応をつける場合、必ずサイバーアイに交換する必要があるのでしょうか? それとも網膜改造だけで、上記の改造を行うことが出来るのでしょうか?
A.
可能です。
ただし、それぞれに対してエッセンス消費があります。交換した場合は、視覚強化のエッセンス消費量が合計 0.5 までであれば、交換のためのエッセンス消費だけで済みます(価格はそれぞれ支払います)。

【6】アストラル

Q.
元素精霊の呪文維持の助力をおこなった場合は、呪文固定具の場合と同様に現実世界とアストラル界の経路を作ってしまうのでしょうか?
A.
そのようなことはありません。
元素精霊の呪文維持のサービスは、物理世界に実体化することなく行われます。このため、呪文を維持している元素精霊をアストラル空間で物理呪文を使って攻撃しても、呪文が物理世界で効果を現すことはありません。
Q.
収束具をアストラル空間で使いたい場合、まず物理空間で活性化しておいてからアストラル投射すれば持って行けるのでしょうか?
また、呪物制限つきの呪文をアストラル空間で使いたい場合、アストラル空間に呪物を持ち込めますか?
A.
持って行けます。


Q.
Dual Nature (二元性) な生物って、アストラル空間から物理空間に呪文を grounding (流れ込ませる) する際の経路になりますか?
例えば、アストラル空間でドラゴンに理力球(Power Ball) を撃てば、物理空間で爆発しますか? あるいは元素精霊が実体化している状態ではどうでしょう。
A.
なります。
が、呪文は抵抗されます。呪文の成功数のほうが多かった場合に限り、物理空間に grounding します。Dual Beings (二元生物) の身体能力値は、そのままアストラル能力値になりますので(The Grimoire P.86)、「強靭力:14」のドラゴンに対する理力球の基本目標値は14になります。


Q.
収束具は壊れたものを修復できますか?
A.
物理的に壊れてしまったものは無理です。が、精神呪文によるものであれば、使用者とのつながりが壊れるだけですので、再度カルマを払って「結びつけ」なおせばokです。


Q.
シャーマンはアストラル投射した状態で自然精霊を召喚できますか? できるとしたら、現在アストラル体のいる領域の精霊を召喚するのでしょうか。
また例えば、現実空間の道路で都市の精霊を召喚した後、肉体を路上に残したままアストラル投射して他の場所にふわふわ飛んで行ったら、召喚された精霊はどうなりますか?
A.
アストラル空間で自然精霊を召喚出来るかどうかは、はっきりとした解答は出ていません。元素精霊は召喚素材と召喚書と物理的なスペースを持つ魔法陣が必要なので、アストラルからの召喚は不可能と言えます。
また、召喚者が領域から出た場合、自然精霊は、日の出/日没まではそこに留まります。指示が出ていれば、それを継続します。


Q.
Cerebral Booster 等で Intelligence を上げた場合、Astral Projection した状態でも高くなった Intelligence が持続しますか?
A.
これは異論のあるところかと思われます。以下は回答者の個人的見解です。
<The Grimoire P.86>
Cyberware or bioware that boosts Intelligence does not affect the the Astral Physical Attribute.
<Tom_talk.txt>
Are quickened/spelllocked spells active in astral space
For example: Intelligence +4, Charisma +4, Willpower +4... ( Spells that could really beef up a projecting mage )
> Yes they are active. Can you say "Yippe!"? I knew you could!
<Shadowtech P.23>
>>>>>[When on of my mage friends heard about this booster, he went right out and got one installed. Hammermil said it made him one of the fastest boys in astral space. Don't know if that's true. Ain't never been there myself.]<<<<<
<Shadowtech P.49>
The Encephalon does boost magical ability.
上記のことからして、特記のない限り、boost された精神能力値は、アストラル空間でも有効である。ただし、アストラル身体能力値は boost されない。

【7】ダメージ

Q.
サプリメント“Shadowtech”に載っているダメージは、「10L2」「6M2」などと書かれていますが、これはどう解釈すればいいのですか?
A.
末尾の“2”を取ってください。これはステージングナンバーと言い、初版ルールにあったものです。二版に移行する直前くらいに出た Shadowtech では、二版ルールを意識して、ダメージコードのあるものは全部ステージングが“2”になっているはずです。
(補足)
「ステージングナンバー」とは、「ダメージレベルを一段階動かす」のに必要な成功数です。Street Samurai Catalog に残っている 4M3 とかも同じです。
ただし“2”以外のステージング、及びアーマーが効くものについては若干調整が必要です。(調整の目安は、英語版の 2nd Ed. ルールブックには載っているんですが、日本語版ではカットされています)

【8】カルマ

Q.
手に入れたカルマの、カルマ・プールとグッド・カルマへの分配はどうやるのですか?
A.
基本ルールブックの原書を見ますと、これについては2ヶ所に書かれています。一方は、曖昧な表現で、どちらを小数点以下切り捨てにするか判断しにくいのですが、もう一方は非常に明確な説明となっています。
「今までに手に入れたカルマポイントのうち、10分の1(端数切り上げ)をカルマ・プールに入れます」
(別の言い方をすると、累積カルマポイントの1点目、11点目、21点目、…はカルマ・プールに入れる、ということです)
(補足)
なお、日本語版では、一方の曖昧な表現の部分を、カルマ・プールのほうを端数切り捨てにすると解釈したため、上述の文のうち「端数切り上げ」という部分が意図的に無視されています。
また、「今までに手に入れた」という表現も切り捨てているため、富士見書房の RPG ドラゴン誌(現在無期休刊)の Q&A 記事では、「一度に手に入れたカルマポイントの 1/10(端数切り捨て)を、カルマプールに入れる」という本来のルールと大きく異なった、日本語版の誤訳に従った回答が出されています。
他の(ルールブックをちゃんと読んでいるが、当時の RPG ドラゴン誌は購読していなかった)シャドウランプレイヤーと解釈を巡って混乱を起こしてしまうことを避けるためにも、この RPG ドラゴン誌の記事でのみ示されたグループ SNE による独自解釈は使用しないほうが無難です。
(補足2)
また、選択ルール集“Beyond the Shadows: Shadowrun Companion”(未訳サプリメント)では、明確な表現で新しいルールが提示されています。
「グッドカルマを10点手に入れた後のグッドカルマ1点は、カルマプールに入れます。このサイクルをずっと繰り返します」
(言い換えれば、累積カルマの11点目、22点目、33点目、…はカルマプールに入れる、ということになります)
こちらのほうはまったく誤解の余地がない書き方がされているので、解釈を巡って議論になることがありませんが、あくまで「選択」ルール集ですから、採用する場合には参加者全員に説明しておいたほうがいいでしょう。

【9】用語

Q.
「マンデイン(mundane)」ってなんですか? 他の人がよく使っている言葉ですけど、日本語ルールブックには載っていません。
A.
"mundane" とは「現世の、ありふれた、普通の」という意味の単語で、シャドウランでは「魔法的でない(物)、魔法使いでない(人、生物)」という意味で使われます。
なお、日本語版ルールブックでは "mundane" は「魔力のこもっていない」と訳されています。

【10】熱映像と赤外線視野

Q.
メタヒューマンの「赤外線視力」とサイバーアイなどの「熱映像視野」では見えるものが違うのですか?
A.
同じものです。どちらも「熱源が放射する赤外線(遠赤外線)」を見ています。
原書ではどちらも「Thermographic(サーモグラフィック)」と呼ばれていまして、Cybernic/Electoronic(機械的)とNatural(生得)の区別があるだけです。
この区別をはっきりさせようとして日本語版では別の用語を割り当てたのだろうと思われます。素直に訳せば両方とも「熱映像」(「サイバーウェアの熱映像」や「種族能力の熱映像」など)となります。

サプリメント Fields of Fire によると、2050年代のサイバーアイなどのテクノロジーによるサーモグラフィック映像は低光量システム映像との合成で作られるため、温度差だけでなく細部までちゃんと認識できるということです。(暗いところでペナルティが大きくなるのは低光量システムによる補正の効果が減少するため)
そして、メタヒューマンやクリッターやアデプトパワーといった魔法によるサーモグラフィックについては、機械的なものよりももっと鮮明に見られることや、日ごろから通常の視覚と同時に併用されていることなどが記述されています。
サイバーアイやゴーグルのサーモグラフ映像の見た目は、高温が白で低温(室温)が黒、その間の温度が赤から緑の段階で示されます。トロールの場合は通常の色覚のままで、高温の部分は色が brilliant(あでやか)に見えるのだそうです。
(補足)
サーモグラフというと、情報番組などで「物体の表面温度を見せるのに使われる、人の形が分かる程度の粗い粒子の赤や青で色分けされた映像」を想像される人もいるかもしれませんが、あれはカメラで捉えた赤外線とあらかじめ入力しておいた物体の放射率を元に、コンピュータで物体の温度を算出し温度ごとに色分けした CG であって、実際の遠赤外線カメラ映像ではありません。
実のところ、現代の遠赤外線カメラでも人の顔の表情がわかるくらい鮮明な映像を撮ることができます。(原理上、当然ながら白黒映像です)

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