☆コンタクト  コンタクトとはなんでしょう? コンタクトはシアトルという町に住む様々な人々 です。 それぞれに生活があり、仕事があり、そして信念や誇り、愛するものがある生身の人 々です。ランナーもまたシアトルという町に住む生身の人間です。コンタクトとラン ナーたちの接点はその生活の上にあると言えます。たとえば過去、企業で同じ仕事を していたカンパニーマンであったり、いきつけのバーのバーテンであったり、車の修 理をいつも頼むメカニックであったり、共通の秘密を持つミスタージョンソンや、た だの冷やかし相手のトロールバウンサーかも知れません。  しかし、まず翻訳ルールブック212頁を読んでみてください。  そう、コンタクトとランナーの関係は強いものではありません。立ち入ったことを 打ち明けられたり、厄介ごとで頼りにされたりするのはコンタクトの人たちにとって 迷惑なことなのです。(ただし、バーテンは酒場のクダまきを聞いてあげることも仕 事なんで、たあいない悩みを打ち明ける分には問題ありません)面倒に巻き込まれそ うだと思えば、コンタクトの人たちは保身のためにランナーを裏切ることもするでし ょう。 (あなただって、顔なじみのコンビニ店員あたりから麻薬の密売についてオイシイ取 引の 秘密なんぞうちあけられたら、困って警察にチクってしまうでしょう?   ……え? チクらずに話にのる?(^^;) )  しかし、彼らは自分の仕事についてはプロ意識の程度には忠実です。コンタクトの 利用方法として、ルールブックには情報収拾と装備入手をあげていますが(確かそん だけだよな(^^;))、さらに解説の部分に書かれている仕事もしてくれます。メイジ やシャーマンなら、タリスモンガーをコンタクトに持つのは先々役にたちます。また、 改造を加える予定のある傭兵やサムライにはストリートドクのコンタクトがおすすめ です。  これが、コンタクトの「実用面」です。コンタクトの選択には無論考慮にいれるべ きものではありますが、もう一つ重要な面があります。「スタイル」です。  コンタクトはランナーを生身の人間として浮き彫りにするまたとない材料です。も し、あなたのランナーがレイシストなら、ヒューマニクスポリクラブとつながりがあ っても不思議ではありません。いつかロッカーとして成功してやろうと思っているな ら、メディアプロデューサーとなんとかコネをつけているかもしれません。また、も し過去にヤクザの下で汚れ仕事をやっていたという前歴がるとすれば、ヤクザボスを コンタクトにもつかも知れません。コンタクトは、ランナーの履歴書となりうるので す。 (そのため、コンタクトの性別など、多少は変えてもよいかと思われます。ただし、 あくまでちょっとした変更に留め置くべきでしょう)  さて、以上のゴタクに基づいて基本ルールにのっているコンタクトを簡単に解説し てみましょう。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○エルフ・ヒットマン  殺し屋です。それも一流の殺し屋でしょう。十分な報酬(ビズの一人あたりの報酬 より高いかも)を払えばスマートに誰か暗殺をしてくれるでしょう。 (ゴルゴ13をイメージするのがベストでしょう。ただ、台詞を見るに、かなりの自 信家のようですが)  情報も過去の仕事がらみのことや、同業者のことに限定されると思われます。気軽 に接触できる相手ではありません、あなたの態度如何では彼はあなたの排除を決意す るでしょう。  スタイルとしてこのコンタクトを取るとすれば、例えばゴルゴ13の世界に住める ような履歴を持つランナーでしょう。 ○カンパニー・マン  企業の特殊工作員です。会社員というより軍人でしょう。それも傭兵というより企 業という国家に忠誠を誓った精鋭の強兵といったところです。個人差はあるでしょう が、あまり融通のききそうのない連中です。  情報は、会社の利益をおびやかさないかぎりで売ってくれるでしょう。ただ、カン パニーマン自身、末端にいる人間なので事件の詳しい背景などは知らないでしょう。 情報収拾は買収より交換取引のほうが信頼関係の維持にはよいかも知れません。彼の 勤める会社の内部事情はよほどのことがないかぎり(例えば魔法を使ったり、それに 見合うだけの重大な情報との交換取引をもちかけるなど)もらさないでしょう。  スタイルとしては、企業がらみの履歴のあるランナーむきです。カンパニーマンは 交渉ではなく実力行使が仕事である点を考慮してください。 ○ギャング・ボス  おそらくはストリートギャングのボスを想定しているのでしょう。  ボスの座を守るためには手下や縄張りの住人の力関係に気をつけ、つぶされないた めに他のギャングや企業、犯罪組織やローンスターの動向に注意を払い、そしてそれ らをふてぶてしい態度の中に押し隠す、例えばそんな男であったりするでしょう。見 かけの素行(粗暴で気まぐれなように見えたりするでしょう)の裏には逆に緻密な判 断が働いているということは珍しくありません。と、いってもそれらの緻密な判断も 経験に元づくもので、インテリのように理屈を偏重するものではないでしょう。  彼の縄張りの中の情報、それに近隣の他グループや犯罪組織の情報はギャングボス のアンテナにひっかかるものです。しかし、それらを乞われるままに提供してくれる とは限りません。彼が腕っぷしだけでボスになったわけはない、ということを忘れな いように。  スタイルとしては、ストリート出身のランナーや、犯罪組織/警察がらみの履歴む きでしょう。 ○コーポレイト・セキュリティガード  警備員です。この職種は現在の日本にも米国にもありますが、武装しているだけ、 米国のほうがより近いものでしょう。  彼らは企業の内部には全くくわしくありません。(それでも賢い者は日々の仕事の 間に観察によっていろいろなことを察知しているかも知れません)ただ、入ってはい けない人間を入ってはいけない場所にいれないためにいます。融通のきく相手ではあ りません(何しろ、彼らには権限というものがほとんどありません)。  獲得できる情報は警備状況(立ち入り禁止区域の所在など)に関連するものくらい でしょう。少し金をつめば、警備員の制服など入手できるかもしれません。  このコンタクトを持つとすれば、企業で使役する側にいた人間であったり、警備会 社に勤務していた人間だったりでしょう。(それとも、子供のころよく遊んだ仲、の ようなものかも知れませんね) ○コーポレート・セクレタリ  秘書です。有能で冷静で忠実で慎重です。ただし、彼女らもまた生身です。愚痴り たいこともあるでしょう(上司のちょっとしたセクハラとか)。  彼女を買収することはまず無理でしょうが、もしその心を開くことができるなら、 その口からは様々な企業の噂話(主に給湯室社交会界でかわされるものでしょう。こ の情報網をあなどってはいけません)を聞くことができるでしょう。もっとも……そ のためには買収より元手がかかってしまうかも知れませんが。 ○シティ・オフィシャル  シアトル市の職員です。ただし、下っぱではなく市長または市議の誰かに任命され た高官のようです。(日本の大臣や長官がしばしば官僚機構にとって帽子程度の存在 でしかないのに対して、これは全く思考し行動を決める頭に相当する人事でしょう)  自分のボスの利益はすなわち自分の利益として行動するでしょう。  選挙の前には自分のボスのスキャンダルをもみけそうとしたり、対立候補のスキャ ンダルを暴く(あるいはでっちあげる)ために行動することもあるでしょう。  彼と知り合いのあなたは、もしかしたら、そういう仕事を以前やったことがあるか も知れませんね。 ○スクワッター  ストリートの住人です。近い人々は新宿その他で見ることができるでしょう。  彼らの第一の関心は明日を迎えることです。そのために自分のまわりには注意を払 っています。自分のいつもいるあたりのことには詳しいでしょうが、見知らぬ他人に はかまわれたくないでしょう。金で情報を得るにしても、そのへんの心情に配慮して やらないと駄目でしょう。  このコンタクトを持つのは、やはりストリートに深い縁のある者でしょう。 ○ストリート・コップ  ローンスターの巡邏警官です。イメージとしては米国の番組に出てくる警官を思い 出してください。タフでしたたかである点ではギャングたちといい勝負でしょう。実 際、ストリート出身でシアトルにあるローンスターのポリアカ卒業、なんて警官もい るでしょう。 その個性の幅については様々ですので、米国のTV番組に出てくる警 官にモデルを捜してあてはめるといいでしょう。  情報はローンスターの活動についてが主になるでしょう。それも、自分の分署に限 ったものに限られるでしょう。押収した物品の横流しにはよいコンタクトかも知れま せん。 (それと、彼の受け持ち区域の犯罪や犯罪組織、住人の情報の獲得でしょうか) ○ストリート・ドク  町医者です。ちゃんとした免許のないもぐりかも知れませんし、非合法な手術をし て稼ぐ闇医者かも知れません。いずれにしろ、余計なことは聞かず、手術や治療をし てくれます。保険がきかないから、少し高価につきますが。  情報は医学的なことに限定されるでしょう。それも、噂話程度でしょう。他の患者 のことなどをらぺら喋るようならとっくに冷たくなって見つかっているはずです。  サイバーウェアや臓器移植も、彼に任せれば安心できます。 (100%の安心、というものはありませんが) ○タリスモンガー  魔法物品のフィクサーというところでしょうか。魔法関係の物品の調達、故買、そ れにちょっとした破損程度なら修理もできるようです。(木工などのスキル)タリス モンガー自身も魔法使いです。  魔法関連の品物には大変高価なものもありますので、メイジ関連の物品を扱うタリ スモンガーはフィクサーなみに自己の安全には気をくばっているでしょう。 ○トライバル・チーフ  酋○です。コチコチの伝統主義者ではなく、有用であればテクノロジーも利用しま す。この○長は本当の敵が文明そのものでなくて、それをもたらす者たち……つまり 企業や自分たちに内在する怠惰であると理解しているのでしょう。企業と部族の関係 については、多くの情報を握っています。さらにその企業の他の活動についてもある 程度把握しているかも知れません。  部族に危険や損失が及ばないかぎり、物資(弓矢や馬でしょう)や情報を値段次第 で提供してくれるでしょう。(あるいは、何らかの仕事の報酬として……) ○トロール・バウンサー 「お客さん、困りましゅねぇ〜(げへげへ)」  他のお客に失礼にならない程度には気のきくトロールです。そのせいかどうかわか りませんが、プロ意識はコーポレート・セキュリティガードよりも高いようです。  彼を通じて入手できるものといえば、勤務するクラブ関係のものでしょう。もしか したら、ウスノロのトロールにはわかるまいと思って重大な情報を目の前でぽろりと こぼすうかつな客がいたかも知れません。  オーク/トロールでなければ、彼とコンタクトになるには多少こった背景がいるで しょう。彼にはブリーダーやタンポポ食らいと気安くする理由などないからです。 ○ドワーフ・テクニシャン  ドワーフの技術者です。解説などよむと、どうも必死に自分の技術に自信を持とう としているようです(笑)  技術者、といっても電子機器関連の技術者のようです。エチケットに企業とストリ ートの選択がある点は、主にどのへんで仕事しているかによる区別でしょう。  企業で保守点検の仕事をやっているか……ストリートで町の電気屋さんをやってい るか、といった違いでしょうか。  ちょっとした電気工事(多少非合法でも何も言わないでしょう)を頼むにはいいコ ンタクトかも知れません。また、どこかの建物の配線についてくわしいかも知れませ ん。 (例えば、何も警備の置かれていない下水の壁をちょっとほるだけで普通なら触ることも  できない企業のデータラインが出てくるとしたら、どうでしょう? 彼はそれを知って  いるかも知れません) ○バウンティー・ハンター  もし、あなたが企業に本気で追い回されていないとしても、邪魔者として認識され ていたら、バウンティーハンターに追われる危険があります。 (あなたは仲間たちが自分を守ってくれる、なんて甘い考えをしていませんか? バ ウン ティーハンターは狩りのプロです。あなたがトイレにはいっている時や眠って いる時、 そういった無防備な時に行動を起こすでしょう)  バウンティーハンターは誰が(代理人かも知れません)誰にどんな賞金をかけてい るのか、といった情報や同業者にどんなハンターがいるのか、といった情報を持って いるでしょ う。賢いハンターなら、賞金の背景について何らかの情報を握っているでしょう。 (しかし、今、追っている獲物については知らんふりをするでしょう。横取りや邪魔 され てはたまりませんから)  もし、あなたが賞金首になったら、このコンタクトとの接触は避けたほうがいいで しょうね。 ○バーテンダー  情報収拾は酒場……確かに酒場には様々な噂が集まります。しかし、その酒場周辺 のできごとや、住人の事情などを除けば、ちゃんとした情報は拾えないでしょう。 (それでも、バーテンは情報収拾の次のきっかけとなる噂をもたらしてくれるかも知 れません)  バーテンと親しくすることの利点は、むしろ、バーテンがあなたに有用な忠告をし てくれることではないでしょうか? あなたのことを調べている者がいたり、あなた に賞金がかけられたりしたら、親しくしているバーテンは一言忠告してくれるでしょ う。  それに、いきつけのバーの一つくらいほしい所ですね。 ○ヒューマニクス・ポリクラブ・メンバー  自分たちと異なるものを許容できない偏狭な人たちです。メタヒューマンが自分た ちと同じ権利を獲得することに脅威を覚え、これを阻止しようとしています。  このコンタクトもスタイル向けです。あなたが差別主義者の人間なら、彼とつきあ いがあるかも知れません。ヒューマニクスの信条にみあうことなら、彼とあなたと 1D6人の彼の仲間たちで行動することもできるでしょう。  このコンタクトをスタイルとして持つ場合には、他のプレイヤーに留意しましょう。 この手の人種がゲームの上でも全然許せない人がいたら、やめておいたほうがいいで す。 ○フィクサー  うかつなフィクサーは死んだフィクサーである……。  フィクサーの扱うものは、危険であったり非合法であったりするものが主です。そ のほうが金になるからですし、合法なものなら、正規のルートで手にいれたほうがい いからです。  フィクサーはストリートの便利屋ではありません。ホットな商品を好んで扱い、高 いリスクを冒して大金を獲得する商人です。フィクサーは始終危険をおかしています。 フィクサーがアズテクに売ろうとしているデータは、ミツハマが必死に回収しようと しているものかも知れません。どこの誰がそれを今持っているか知れば、ミツハマは カンパニーマンの2ダースでもヘリやシティマスターに乗せて送り込んでくるでしょ う。また、後で誰がそのデータをアズテクに売ったかわかれば、フィクサーに賞金を かけるかも知れません。そればかりか、アズテクがフィクサーに金のかわりに鉛玉で 支払をしようと考えるかも知れません。  フィクサーが取引を段取りし、その相手に接触する時は慎重に慎重を期するでしょ う。でなければ、そのフィクサーは決して長生きできません。(それがランナーであ っても一緒です。ランナーがフィクサーを殺してクレッドや商品を奪おうと考えない と、どうして信じることができるでしょう? ) ○ミスター・ジョンソン  企業の人間です。彼が企業でどんな地位、立場の人間なのかはわかりません。自社 の人間を使わない仕事のためにランナーを雇います。  このコンタクトを取る時には、会社名程度は決めておいたほうがいいでしょう。そ の会社名をランナー本人が知っているかどうかは別です。  このコンタクトは企業内部とつながっているために、両刃の剣となるところもあり ます。 (もし、あなたがレンラクのジョンソンとコンタクトがあって、そのレンラクからデ ータを奪うビズを受けたとしたらどうなるでしょう? コンタクトはこちらから連絡 するまでおとなしくしているとは限りません)  ミスタージョンソンはかなりの権限と予算を与えられている場合が多いので、企業 でしか手にはいらない装備を入手することができるかも知れません。ただし、ジョン ソン氏がそれが自分の仕事の利益につながると判断した時だけです。 ○メカニック  車両の整備や修理のプロです。車に武器をつけたり、改造したりする時にも頼れま す。リガーならほしいコンタクトでしょう。 ○メタヒューマン・ライトアクティビスト  メタヒューマンの人権のために活動する人々です。このような活動家は現在もいま す。企業やローンスター、それに市当局などにとってはうるさい相手でしょう。 ○メディア・プロデューサー  マスコミの人です。視聴率をかせぐために番組を企画してプロデュースしたりして いる現在でもある仕事です。面白いネタはないか、いつもアンテナを伸ばしているの で、ニュースになった事件や、芸能界の裏などのことは知っているでしょう。  ロッカーなど、将来メジャーになりたいランナーには欲しいコネでしょう。 ○ヤクザ・ボス  もし、あなたが彼を怒らせるようなことを言っても、彼はあなたの無礼を許してく れるように見えるかも知れません。なるほど、彼は何も言わないでしょう。しかし、 その子分が、まるで煙草の火をタイミングよくさしだすように親分の意をくんで行動 するでしょう。  このコンタクトもまた、うかつなつきあいかたをすれば手ひどい目にあう相手です。  彼と話すことができるというだけで、あなたはなんらかの形でヤクザに深く関わっ た人間であるということです。  以上、基本ルールブックに乗っているコンタクトについてコメントしてみました。 コンタクトの選択の参考になれば幸いです。                               でぶ猫