★世界の裏側 シャドウランの部隊は未来の地球です。(2版では2053年となり、さらに現実の 時間経過とともに暦は進んでいます。今年は2057年です。ただし、日本語版では なぜか2050年でカレンダーがとまっておりますが) 英語版、日本語版ともに主要な舞台は北アメリカのシアトルです。 (え、日本語版も? と思われた方。コンタクトや武器装備表はシアトルのものなん ですよ) もちろんシアトル以外のサプリメントも出ています。日本語版オリジナルで東京もあ りますし。 またサプリメントが出ていない地域もやってやれない事はありませんが、ちとGMに 力技が要求されます。 まずはシアトルで「ビズをこなす」事をお勧めしておきましょう。 (シャドウランでは、ソードワールドなどのファンタジーRPGの冒険にあたるもの をビズもしくはランといいます。ただし、その内容はかなり異なりますが) さてシャドウランの世界は現在の世界とは異なっているポイントがいくつかあります。 まず「魔法が復活している」こと。 ついで「メタ・ヒューマンがいる」こと。ドワーフ、エルフ、オーク、トロールが存 在します。PCにもできます。 さらに「クリッターがいる」こと。ドラゴン(人権があります。被選挙権までありま す。大統領選挙に出馬しました)、バジリスク、バンパイアが未来のハイテク世界に 存在しているわけです。 これらはまとめて「覚醒」という名前で呼ばれている現象の結果であり、そのきっか けにはネイティブ・アメリカン達の儀式魔法が深くかかわっています。 シャドウランがサイバーパンクRPGでなく、サイバーパンク”ファンタジー”RP Gと呼ばれる由縁がこれです。ただし、牧歌的なファンタジー世界を想像していると 足下をすくわれるでしょう。 シャドウラン世界の特徴をあらわす言葉は「闇と暴力」だからです。 エルフやドワーフ/オークやトロールなどのメタ・ヒューマンの設定ですら、「現実 で行われている人種差別をそのまま扱うのは生臭すぎる。では、それに変わって”種 族差別”にしたらRPGで扱いやすくなるだろう」というデザイナーの意図がありま す。現実のアメリカ合衆国に存在する少数民族問題、人種差別、環境汚染、ウィルス 病禍、麻薬汚染、日本企業の経済進出の脅威などがシャドウラン世界設定の背景には あるのです。ですからシナリオのネタもこういった社会問題から拾っていく事ができ ます。そんな世界でのアウトロー的存在がPCであり、PCがこなすビズはきわめて タイトでハードなものになるのが普通です。   >>>>>[あんだと?ゴチャゴチャうるせえな。まずガンを撃ってからだ。 撃ってから考えるんだよ。]<<<<< --Ork Merc(03:45:23/07-27-57) 覚醒が生じ、混沌とした2050年代に至るまで・・シャドウランでは20世紀後半 から架空の歴史を積み上げていって世界をかたちづくっています。ルールブックの 「かくて世界は・・」(AND SO IT CAME TO PASS...)がその歴史の章です。 日本語版シャドウランは2版準拠の翻訳なのですが、なぜか冒頭の小説とこの歴史の 部分が1版のものになっています。基本的には同じなのですが、出版時の社会情勢を 反映し、2版では「ソ連」が「ロシア」にかわっていたりします。 この文章は基本的には英語版2版ルールに準拠しています。 さて、この章を通読していただければ気づかれると思いますが、シャドウランの世界 ではネイティブ・アメリカン(インディアン)が大きな役割をになっています。そし て未来史でも大まかにいって19世紀から20世紀にかけてのネイティブ・アメリカ ンのたどった歴史が再びなぞられています。 ただし、今度は「裏返し」で。すなわち、シャドウラン世界ではネイティブ・アメリ カン達が再び独立を勝ち取り、「国家」を建設することになります。 ルールブックの後ろのほうについている地図をひろげてみて下さい。 なんだか、色々な国ができています。このアメリカ西部の大半をおおっている国々の うちカリフォルニア自由州(CFS)などを除いたものがネイティブ・アメリカン・ ネイションズです。 さてこのネイティブ・アメリカンによるネイション(国家)という考えですが、シャ ドウランがゲームの為に作り出した概念ではないのです。現実の歴史でもアメリカ合 衆国は各部族を国家とみなし、条約を調印しています。シャドウラン世界で結ばれる 「デンバー条約」はこのパロディです。現実世界でのネイティブ・アメリカン・ネイ ションズ VS アメリカ合衆国の条約はことごとく合衆国側によって反故にされ、ネイ ティブ・アメリカン達は迫害の末にインディアン・リザベーション(居留地)という 狭い地域におしこまれていきます。それが、シャドウラン世界ではおよそ1850年 ころのネイティブ・アメリカンの領土が再現されています。 どうしてまたこんなことが出来たのでしょうか。 それは覚醒による魔法の力が大きな役割をになっているのです。 >>>>>[ネイティブ・アメリカンというとすぐに自然主義者と決めつける輩がいる。 それは大きな間違いだ。 たしかに我々は大いなる精霊の力を守るため、自然を尊重はしている。 だが、テクノロジーの成果に背をむけているわけではないのだ。]<<<<< --Dancing Coyote(18:37:10/05-18-50) ★メガコーポ シャドウランの世界ではアメリカ合衆国、ロシア、EC加盟国などの「強国」の大半 が没落しています。また各地で戦乱が発生したため小規模国家が乱立してもいます。 数少ない例外候補の一つが日本ですが、日本にしたところであくまでも「候補」であ り、日本語版の設定を読む限りにおいては新日本帝国も大した力はもっていないよう です。(とはいえ。これは後のカリフォルニア自由州の設定を考えると、ややズレを 感じます) そんな国家組織にかわり、社会を支配しているのがメガコーポを代表とした企業です。 メガコーポは独自の軍/警察組織を持ち、その活動範囲は「わが社のあるところは世 界中どこでも」となり、「会社の敷地内では、会社が法律」な存在です。 こういったメガコーポの持つ「自衛」権を始めて法的に認めたのが、20世紀末に北 米で発生した食糧暴動に対するセレテク社の行動に対する判決でした。すなわち集ま ってきた群衆に銃をぶっぱなし、それが「正当」とされたわけです。 メガコーポの権利はその後のシアワセ判決により「治外法権の獲得」にまで至りまし た。そしてメガコーポ各社は自社の利益の為に行動することが法律で認められて繰り 返される事になります。それは場合によっては企業間戦争にまで至ることがありまし た。 ★Resource Rash さて・・・北米大陸のインディアン居留地は「不毛の土地」であるとみなされていま した。が、ここにも地下資源が存在することが知られるとメガコーポを初めとした 「企業」達があらゆる手段を用いて進出してくるようになります。 「資源ラッシュ(Resource rash)」の始まりです。 注:現実にも全く同じインディアン居留地における埋蔵地下資源の獲得合戦が 起きています。 シャドウランはアメリカ近現代史をなぞって、裏返した存在であることは既に述べま したが、これは正にゴールドラッシュの再現といえましょう。 当然、ネイティブ・アメリカンの側でもこれに反発した民族行動がおき、SAIM (アメリカインディアン独立運動)(Sovergion American Indian Movement)と呼ばれ ました。 (現実世界でもAIM−アメリカ・インディアン運動があります) そしてSAIMのなかでの最過激派が合衆国戦略ミサイル基地を占拠し、MIRVを 発射してしまうという事件が起きます。(ローン・イーグル事件)幸いにも不発だっ たため破局的事態は免れましたが、この事件で態度を硬化させた合衆国当局はネイテ ィブ・アメリカン全員を「再教育センター」(Re-education center)という名前のゲ ットーに押し込めてしまうという暴挙に出ます。 現実にもこれとほとんど同じ政策が過去にとられました。そして状況に絶望したネイ ティブ・アメリカン達の間に流行したのが「ゴースト・ダンス」という一種の救世主 信仰です。ただ、現実の歴史では「ゴースト・ダンス」は手酷い弾圧をうけて潰され てしまいました。 有名なウーンデッド・ニーの大虐殺(昔は「ウーンデッド・ニーの戦い」と呼ばれて いましたが、一方的な虐殺であることが近年認められています。過去を美化し誤魔化 すのは日本だけのお家芸ではありません)はやや時代を遡りますが、そうした弾圧の 一環でもありました。 こうした「いつか来た道」を合衆国が再びたどるなか、世界をVITASという奇病 が襲いかかってきます。異様に高い死亡率のこのウィルス病は、衛生環境の整ってい ない第三世界で大流行し、全世界の人口を激減させます。 >>>>>[ネイティブ・アメリカンの存在を知らない者もいることは認めよう。その 代表例がコーポのシャイクジン達だ。 狭いコミュニティで複雑な儀式的エチケットを学ぶことだけに汲々として いる彼らに語る言葉はない。 ただ私は次の事実を述べるだけだ。]<<<<< --Dancing Coyote(10:08:55/06-08-51) [ウーンデッド・ニーに関する記事に続いて]ほぼ百年後の1973年、騎兵隊が正 義で、先住民が悪であるという、アメリカ国民の一般的認識を覆す事件が、その同 じ場所で起きた。先住民のアイデンティティーに目覚めたAIM(アメリカン・イ ンディアン・ムーヴメント)の活動家および居留地住民約五百人が、ウンデッド・ ニーの聖心ローマ・カトリック教会と交易所を占拠し、神父を含めた十一人の人質 を盾に、それまでに合衆国政府がインディアンと結んだ三百七十一の条約の調査を 迫ったのだ(実際に結ばれた条約数に関しては七百前後という学者もいる)。 彼らの七十一日間に及ぶ占拠は、それら条約のほとんどが白人側によって一方的 に破られてきた事実を、合衆国という土地は、彼ら先住民から奪ったものにほかな らないということを、アメリカ建国の陰に隠された先住民に対する迫害の歴史を白 日のもとに晒した。 阿部 珠理(立教大学助教授、比較文化論) 西日本新聞 1993年 8月5日掲載ぶんより ★混沌の年 2011年は「混沌の年(Year of Chaos)」と呼ばれています。このとしにはいくつも の事がおきました。 VITAS(Virally Induced Toxic Allergy Syndrome) ニュー・デリーで最初に発見されたこのウィルス病は、第3世界の過密都市を中心に 猛威をふるい、2010年には世界の総人口を激減させました。 症状として、黒い病斑がでるあたり、まさにペストの再来といえます。 さらにこの病気の引き起こした混乱のため、政府の機能が麻痺し、2011年のメキ シコ政府の崩壊を皮切りにあちこちの途上国政府が倒れました。 このメキシコ政府にかわり当初はネイティブ・アメリカン国家の一つとしてうまれた のが、シャドウラン世界で日本企業と並ぶ「悪役」アズテクノロジーのあるアズトラ ン(Aztlan)政府です。 UGE(Unexplained Genetic Expression) VITASはさらに別のものを人類にもたらしました。2011年、世界各地で正常 な両親から奇妙な形態をもったミュータントの子供が次々と生まれたのです。 ニューズウィーク誌は彼らを「エルフ、ドワーフ」と呼びだした最初の報道機関です。 ちなみにこの年以降、エルフとドワーフが普通の人間の両親から生まれることはなく なります。ただし、エルフやドワーフが片親にでもいれば、エルフ/ドワーフの子供 はできますが。   >>>>>[地域によってエルフの発生には偏りがみられる。だが、それでも説明でき ないエルフもいるのだ。彼らはどこから来たのだ?]<<<<< --FCS(06:25:03/08-30-55)   >>>>>[ノーコメント]<<<<< --Harlequin(00:05:03/09-27-55) 欧州での原子力発電所事故(Meltdown) VITASが(途上国にくらべればマシとはいえ)猛威をふるうなか、ヨーロッパで は原子力発電所の事故が多発します。このため放射能汚染地域がひろがり、大変な被 害をもたらしました。   >>>>>[汚染地域? ああ、俺達のパラダイスの事だな。]<<<<< --Toxic Shaman(14:13:03/06-06-56) 偉大なる精霊の踊り(Great Ghost Dance) インディアン再教育センターではかつてと同じく「ゴーストダンス」が流行しはじめ ます。 この時の指導者はDaniel Howling Coyoteといいました。そしてかつてと同じく「銃に よる弾圧」が始まったのですが・・ ここから先が今度は違いました。ダニエルを狙った弾は彼を傷つけることが出来ず、 センターのゲートは疾風と竜巻きでふきとばされました。 そしてダニエルに率いられたネイティブ・アメリカンたちは堂々とそこから出ていっ たのです。 「魔法の復活」がおきました。2011年12月24日のことです。 最初のドラゴン(First appearance of the Great Dragon) 同日、日本の新幹線から最初のドラゴン(イースト種)が富士山近郊で目撃されまし た。その後、京都、伊勢で目撃されましたが、さらにその後の目撃報告はこのRyumyo という名をもつドラゴンにはありません。 しかしこの後、世界には多数のドラゴンがあらわれ、また幾多のクリッターが地球上 をかっぽするようになります。 「覚醒」(Awakening)の始まりです。 ★NAN(Native American Nations)の成立 Daniel Howlling Coyoteはゴースト・ダンスの偉大なるシャーマンとしてインディア ンたちの間にまたたくまに知られていきます。各地で再教育センターからの脱走があ いつぎ、独立運動のゲリラが組織されましたが、企業/政府の軍やハンターが最初は おしていました。 が、2014年にダニエルがNANの樹立を宣言し、魔法の力でレドンド山を噴火さ せ、ロス・アラモスをその火山灰の下にしてしまうと状況は一変します。最初は魔法 を馬鹿にしていた合衆国政府は徐々においつめられていきます。(この火山噴火とい う作戦はゴーストダンスのシャーマンの十八番のようで、かなりやられており、シア トル南部にはセント・ヘレンズ山などが噴火したことによる火山灰でおおわれた荒野 があります) そして2018年デンバー条約が結ばれます。 この条約は妥協の産物でした。ネイティブ・アメリカン達は魔法という新しい力でか なり優位にたったものの合衆国政府の軍事力も大きかったからです。(ルールブック では核兵器の力にふれられています) なにはともあれ。NANがここに正式に認められることになりました。 ★第六の世界(The Sixth World) しかし、何故に魔法の力はこのように偏った発現をしたのでしょうか? それはネイティブ・アメリカンサイドにシャーマンの伝統がいきていたせいかもしれ ません。 シャドウランの世界はしばしば第六の世界ともよばれていますが、これはマヤ暦で新 しい周期が2011年の混沌の年から始まるとされていたことに依っています。 魔法が衰えていた周期が終わり、魔法が再び力をもつ周期にはいったというわけです。 その魔法への扉のあけかたを合衆国エスタブリッシュメントは知らなかったというこ とでしょう。 世界を荒れ狂ったVITASは再び上昇しはじめた魔法の力を、もっとも変化に対応 するのが早いウィルスが取り込んだ姿だったのかもしれません。 このVITASだけでなく、シャドウラン世界ではウィルスが面白い役割をになって いることがあります。 さて。 シャドウランの世界設定ではほとんどが昔日の力を失っている先進工業国家群のなか で、日本が例外候補なのは、この混沌の年の記述にあります。ヨーロッパは原子力発 電所がメルトダウンをおこしていますが、日本にはそのような記述がありません。 さらに日本は信じられないことに2006年に太陽発電衛星をうちあげています。 ううむ。ひょっとして原子力を捨てたのか? また、日本は最初のドラゴンの目撃国でもあり、シャーマン文化がいきている(グリ モアにも記述あり)国でもあることから、魔法をいちはやく政府機関がとりこんだ可 能性があります。後ででてきますカリフォリニア自由州に軍隊を駐留さてたりもして いることから、かなり力をもってることが伺えます。 このあたりと日本版との独自設定とのすり合わせがどの程度なされるのか興味がもた れるところです。 >>>>>[日本は常にミステリアスだ。第6の世界でもそれは変わらない]<<<<< --East Watcher(00:45:13/08-01-56) ★「覚醒」(Awakening) 「混沌の年」は、この年にUGEがおこり、ドラゴンが目撃され、魔法が復活したこ とから、新しい時代の節目となるのですが、新時代を決定づけたのが2021年です。 人間を含めた生き物の「魔法なき時代」には隠れていた資質がこの年に一斉に開花し ます。幾多のクリッター(シャドウランでのモンスター)が誕生し、それは人間に新 たな脅威ともなりました。 ですが、人々が一番恐怖し、混乱したのが「ゴブリン化現象(Goblinization)」です。 民族人種をとわず10人につき1人の割合で「ゴブリン化現象」がおこり、それまで 普通だった人たちが、新たなる種族「オーク」「トロール」へと変化していきました。 これはUGEよりも遥かに深刻な混乱をまきおこします。まずUGEの場合は相手が 赤ん坊でしたが、ゴブリン化現象は成長した人々(おそらくこの時は成人も)に発現 しました。 まあ、たしかに昨日まで普通の人間だと思っていた隣人に突然、角がはえたり牙がは えたりしてきたらこれはショックですねえ。 クリッターの出現とゴブリナイゼーション、これに魔法の力ののびを考えあわせて、 マスコミは「覚醒」と呼びました。 もちろん、もっともショックを受けたのはゴブリン化してしまった当の本人で、それ ぞれかなり深刻な「精神的外傷(トラウマ)」をおいます。そして、このショックか ら凶暴化する人も多く、ますます社会に「ゴブリン化現象への恐怖」をまきおこして いきます。そうでなくてもNANのゴースト・ダンサーによる得体の知れない魔法の 力などに人々は恐怖心を抱いていましたし。 (しかもあちこちでクリッターまであらわれている) 恐怖を排除するために、暴力に走る場合も多く、メタヒューマン(とくにオークとト ロール)に対してすさまじいまでの暴力がふるわれます。 これは再び世界を襲ったVITAS禍で、メタヒューマン差別をしている余裕がなく なり、一時おさまりますが、この年以降、2050年代に至ってもことあるごとに繰 り返し差別の火の手をあげます。 なかでも2039年「激怒の夜」(Night of Rage)の年はひどく、シアトルでは港湾倉 庫にオーク達を押し込めて焼き殺すという暴挙まで生じます。 やがてメタヒューマン差別に関して、先鋭的な集団が形成されました。「ヒューマニ ス・ポリクラブ」です。コンタクトの欄ではかつてのKKKみたいな格好した連中に 描かれていますが、もちろんふだんは普通の格好をしています。「ヒューマニス・ポ リクラブ」は火力の充実した武装集団も多くかかえており、その暴力的傾向は205 0年代のアメリカの社会的問題の重要なものの一つとなっています。(New Violence) 2021年以降も、正常な人間の両親から生まれた子供がゴブリナイゼーションをひ きおこす例が、頻度はさがりましたが発生しています。(だいたい思春期までにはカ ワルらしい)このあたり、ドワーフ/エルフとは異なります。オーク/トロールの子 供はやはりオーク/トロールになります。こういった2世はゴブリナイゼーションに 伴う、精神的ショックを受けることはなく、普通の成長過程をたどります。(ちなみ にトロールは数が少なく、たいていオークの集団に混ざって暮らしています。) さて。 日本はこのゴブリナイゼーションにどう対処したでしょうか。 実は「(エルフ/ドワーフも含めた)徹底的な差別」をしました。(^^;)メタ・ヒュー マンは2級市民扱いをうけ、ことにオークやトロール達は日本国内ではほとんど職業 につけません。(なんと家族にまで累が及ぶ) で、彼らに対して「新天地へいこう!」と宣伝して、日本軍の駐留するカリフォルニ アにおくりこんでいます。(でもろくな仕事は無い) このあたり太平洋戦争前のアメリカ移民や満州移民を彷彿とさせますね。 ★NANの動揺 新たなる魔法の力で再び大きな領土を支配したNANですが、政策的にメタ・ヒュー マンの移民を受入てきたことが、NANの中に問題をかかえるきっかけになりました。 エルフを中心とした覚醒種族たちが、かつてNANが合衆国政府にたいしておこなっ たのと同じく、魔法の力をもって独立運動をおこしたのです。 そしてティル・タンジェル(Tir Tairngire)が独立します。エルフが中心のこの国家が オレゴンに新しい国をつくったのが2035年の事です。 これに刺激されツイムシャン国(Tsimshian)までもが独立します。このようにグレート ・ゴースト・ダンスのシャーマンはだんだんに孤立していきます。 ★Neo Anarchist's Guide to North America さて再びシャドウラン・ルールブックおりこみの地図をひろげてみましょう。 (最後のほうについています。) USAというのがなくなってますね。かわりにあるのがUCASとCASです。 これはどうしたことでしょうか。 2021年、ゴブリナイゼーションの年。 混乱のさなか、まず旧カナダからケベック州(Quebec)が独立します。ここは現実でも 独立運動がおきているフランス語地域ですから、好機とみたのかもしれません。 同時に・・ マイアミを含んだカリビアン・リーグも独立しました。 さてケベックに独立されてみると・・ すでにNAN加盟の国々に国土の多くがなっていたカナダは五大湖周辺くらいにしか 国土がない小さな国なっています。 そこで合衆国政府は、この残されたカナダの地域と合併しUCAS(United Canada and American states)を樹立しました。2030年のことです。 この年から2042年にかけて、欧州では欧州大戦がぼっぱつします。この戦争はヨ ーロッパのおおくの地域を群小国家が争いあう状態にかえてしまいました。 この分離独立の傾向はUCASに飛び火します。カナダ合併による新税制や政治体制 を不満とした南部諸州が分離独立してCASの設立を宣言します。(2034年)実 に南北戦争当時そのままが再現されたわけで、誰しもが、第2次南北戦争(Civil War) がおきることをおそれましたが、幸いにもそれは回避されました。 ただし。 デンバー条約のもとアズトラン(Aztlan)の領土とされていたテキサス州がCASに再 合併されるということが生じます。この地域はアズトランがCAS成立とあい前後し てNANからわかれてしまったことより、NANの部族評議会(Sovereign Tribal Council)管理下におかれていたのですが、この地域が独立を宣言します。 (テキサス共和国ですね) Aztlanがみとめるわけはないのですが、NANのゴースト・ダンサーたちとの正面衝 突の危険をさけ、Aztlanは手をひきます。 そんなわけでCASとの再合併はどさくさまぎれくさく、CAS当局もNANの出方 をうかがっていたわけですが、おりしもNAN内部で先にあげました通り、動揺が生 じてしまいテキサス問題はうやむやとなりました。 この経緯は、まさに19世紀のテキサス共和国独立から米墨戦争の歴史の再現ともい えます。ちなみにデービー・クロケットとアラモの砦の逸話はこのテキサス共和国の ころの話であり、それにあやかってかシャドウランの世界では、Humanis Policlubの 武装過激派がAlamo 20000とか名乗っています。 なお、シアトル警察のLone Starはこのテキサス共和国の国旗をネーミングのもとに しています。 >>>>>[下水道に住んでいる奴らに俺達の街が汚されていいのか? 汚れは掃除しなくてはならない。当然のことだろ?]<<<<< --Washer(08:53:22/02-04-57) >>>>>[下水道においやったのは誰? 彼らだって人間なのよ]<<<<< --Moon Walker(09:00:10/02-04-57) >>>>>[だが、そいつらに俺達は俺達の家だった穴蔵から叩き出された。 この恨みは忘れねえぜ]<<<<< --Seven Dwarf(09:33:48/02-04-57) ★Aztlan 現在のメキシコの大部分はシャドウランの世界ではこの「覚醒種族がヘモゲニーを握 ったらしい」国家が占めています。詳細は謎。成立年月日もはっきりしませんが、お そらくは混沌の年でメキシコ政府が壊滅した後の、NAN樹立の頃にAztlanもまたN ANの一員として建国されたものと思われます。 (Aztlanソースブックが出て、だいぶ謎は消えましたが) ただし、先にも書きました通り、AztlanはNANを脱退してしまいます。さらに20 44年には国内の企業の国有化を一方的に宣言。企業軍との紛争をくぐりぬけ、おお むねそれをなしとげます。 その結果、Aztlanの国策企業ともいうべきAztechnologyが急成長するわけですが、こ のような経過を辿るだけあって、「他人のものを奪う」のが得意な「海賊企業」とし て名をはせることとなります。 CAS、カリフォルニア自由州をAztlanはいち早く認知しますが、実のところそちら 方面にAztlanが領土的野心をもっているためであり、CAS国軍やカリフォルニア自 由州の日本軍との間には小競り合いもあり、国境には緊張した空気が漂います。 ただし、ユカタン半島はブラジル政府を倒したメンバーの一人(らしい)”翼ある蛇” のグレート・ドラゴン、ヒュアルパがいるらしく、Aztlanのわき腹にささった刺とな っています。 >>>>>[Big-Aにランを仕掛ける? 自殺の手段にしてもきついぜ]<<<<< --Merc(15:10:23/05-08-52) ★カリフォルニア自由州 2037年。間にNANを挟んだUCASの飛び地が独立を宣言します。 このカリフォルニアの独立は北部隣接のティル・タンジェル、南部隣接のAztlan、そ れと日本あたりの謀略くさい側面もあり、ことに日本が暗躍しています。 独立後すぐに日本軍が「カリフォルニアでの日本の権益を守るため」に上陸してきま す。ほとんど満州国のノリですね。(もっとも日本軍の動きが無かった場合、カリフ ォルニアはティル・タンジェルとAztlanに分割されていたかもしれませんが) そして数年後の2040年代にはサン・フランシスコは日本企業の天下となりました。 >>>>>[かくてステイツのウェストコーストといえばシアトルになっちまった わけさ。笑えるだろ?]<<<<< --Sunshine(14:28:06/09-18-52) ★”体制”側の魔法 当初はNANの魔法に押しまくられ、恐怖を抱いていた政府(UCAS,CASなど など)/企業サイドでしたが、やがてはこちらも魔法に慣れてきます。 もっともはやくに魔法を学問として認知研究しはじめたのは(北米地域では)カリフ ォルニア大学でしたが、やがてはMITなどにも最後に&Mがつくようになります。 マサチューセッツ工科&魔法大学となるわけですね。 イギリスなどでは政府要職にメイジが就任したりもします。 企業サイドでの利用も進みますが、一般的に「タイムカードを押す奴ら」になるのは メイジ(Hermetic Tradition)です。シャドウランのアーキタイプのなかでもFORMER WAGE MAGE(元・賃金雇用されていたメイジ)はいますが、FOMER WAGE SHAMANはいま せん。 そんなわけで、アストラル(物理的な現実界と重なって存在する魔法空間)のガード には主に「エレメンタル」が使われるわけであり、シャーマンとメイジは同じ様な (ルール的に違いは無い)スペルを使いながら犬猿の仲という訳です。 >>>>>[メイジ? ああ、あのヲタクみたいな人たちのことだろ? そういう風にアライグマ様が言ってたぜ]<<<<< --Lupin III(14:28:06/09-18-52) ★欧州大戦 「覚醒」はアメリカではNANを確立させ、アメリカ合衆国とカナダを分裂させるな どの大きな影響をおよぼしました。 さて、ではヨーロッパはどうだったでしょうか。 実にヨーロッパは北米地区より不幸でした。 まず、あちこちでは原発のメルトダウンがおきています。そしてやはり「覚醒」種族 がそれまでの国という枷をはねのけはじめます。 ことに広大な領土をもっていたロシア共和国ではシベリア、ヤクートに強力な新興 「覚醒」勢力があらわれ、これらが、ちょうどNANのように独立します。 (アジアでは中国が同じような経緯で分裂します。なお、ホンコンはそのどさくさに まぎれて再び分離独立しましたが、結局はメガ・コーポが牛耳っています。) ロシアは「覚醒」勢力からの圧迫とそれによる国内的混乱を、外に(西に)軍事的進 出を行う事により解消しようという冒険にでます。うーむ、国家の冒険主義ってば怖 い。かくしてロシアはベラルーシ、ポーランド、ドイツに向け侵攻を始めます。 欧州大戦の勃発です(2031年) ロシア軍は一時は大きな成功をおさめますが、NATO(が残っているのだった)に より反撃をくいます。ところがNATO側でもアメリカ軍が(南北分立の影響でしょ うか)撤退してしまうなど混乱が生じ、戦争は泥沼化します。そんな中で「ヨーロッ パ本土のイギリスの権益を守るため」にイギリス軍が参加してきました。(つーこと は最初はひよっていたのだな〜>イギリス) さらに戦争状態の継続を好ましく思わないメガ・コーポ(その多くは日本企業)や覚 醒種族勢力の圧力で欧州大戦は結果がうやむやのまま終結しました。 大戦の結果としては、南フランスからイタリア、ヨーロッパ東南部にかけて百以上の 小国(ほとんど都市国家サイズ)に分裂してしまったという事だけが残りました。こ の戦争のため、EC諸国の影響力は大きく後退してしまいます。 ★Crush of '29 2050年代のSR世界ではコンピューター・ネットワークはMatrixとよばれていま す。普通の人がスクリーン・ターミナルで使うぶんには、Matrixは単なるヴィジュア ルなユーザーインタフェースの世界にすぎません。(まかり間違ってブラックICと 出会っても、スクリーン・ターミナルなら大丈夫。操作している者に影響はありませ ん) しかしより深く、精密にネットの世界にアクセスする方法があり、それがサイバーデ ッキです。デッカー達はMatrixの世界を感覚的につかむことができます。 このデッキの基盤技術となっているものがASIST(Artificial Sensory Induction System)であり、2018年にホサカ・ヒキタ博士(おそらく日系人)によって発明さ れました。 このASISTの技術はデッキ以外にもシムセンス、スキルワイヤなどに広く使用されてお り、重要な基盤技術の一つです。 そして最初のサイバーデッキが出来たのが2029年でした。ただし、この時のサイ バーデッキは部屋一つを丸々使ってしまう巨大なシステムで、政府機関でしか使えま せんでしたが。合衆国政府はCIA、NSA、IRSの精鋭メンバーを集め、Echo Mirageという組織をつくります。 Echo Mirageをどういう用途で合衆国が使いたかったは、今となってはわかりませんが、 結成早々にEcho Mirageは強敵と戦う事になります。 その相手が”コンピューター・ウィルス”でした。 このウィルスは2029年の2月8日にいきなり出現してきます。そしてシステムを クラッシュさせ、データを消去するという、まあ厄介ですが20世紀のこんにちでも ありがちな振る舞いを始めました。(Crush of '29) このウィルス撲滅の為に大統領命令をうけ、Echo Mirageはまず企業や大学から「兵隊」 役のメンバー(つまりデッキになじむハッカーみたいな人々)を集めます。そしてこ のメンバーがMatrixにはいってみると、このウィルスはとんでもない機能をもってい ることがわかりました。 「人に対する攻撃機能」です。Echo Mirageのメンバー4人がウィルスと遭遇して攻撃 をうけ、死んでしまったのがその始まりでした。(イラストが載ってますね) ここからEcho Mirageとウィルスの死闘が始まります。 ウィルス撲滅は実に2031年までかかり、Echo Mirageは7人しか生き残りませんで した。(この途中、サイバーデッキはデスクトップサイズにまでなっています) この戦いで得た成果は大きく2つあります。まず企業サイドはウィルスの致死性コー ドを入手しました。これがブラックICに生かされます。 もうひとつが、ネオ・アナーキーなサイドのもので、生き残り7人のうちの4人が最 初の「デッカー」になります。そして2034年には最初の「グレイ・マーケット」 サイバーデッキが出現し、デッカーたちはその最先端の技術を使って企業や政府に破 壊的な打撃をあたえました。デッカー優位の時代があったのです。 このデッカーの攻撃を最初にはねかえしたのが、「フチ」です。自社開発のサイバー デッキの効果でした。(以来、サイバーデッキといえばフチとなるわけです) そして2050年代の今日、デッキはキーボードサイズの第7世代となっており、そ れを使ってデッカー達がMatrixの中を走り回っているわけです。 >>>>>[てなわけだ。わかったかい?主役は俺達なんだぜ]<<<<< -Seven(03:45:23/08-27-54)