SR3: 2ndからの変更点

 今までに目についた Shadowrun Third Edition の Second Ed.(日本語版含
む)からの変更点を列記してみます。


 メタヒューマンのプライオリティがC(トロールとエルフ)またはD(ドワー
フとオーク)となって、メタヒューマン優遇になりました。アレルギーは無し。

 キャラクター作成時の技能のポイントが大幅に増えました。
 その上、言語技能はインテリジェンス(知力)の1.5倍、知識技能はインテリ
ジェンスの5倍のポイントを別に貰って取ります。
 代わりに、Firearms(小火器)技能が無くなり、ピストル、ライフル、サブマ
シンガンなどに細かく分かれました。

(サンプルキャラクターが持っている Magic Background 技能って、知識技能
の説明中にはそのものズバリな表記が無いのだが。Sixth World Knowledge 分
野の "Magic" とか、Background Knowledge 分野の "Sorcery Background" 
はあるのだけど。それにもかかわらず、魔法使い系サンプルキャラクターが全
員持っていることからもわかるように、Magic Background は大事です。実は 
2nd Ed.の魔法理論技能にあたるもので、呪文を覚える時に役立ちます)

 余談ですが(所詮アデプトごときの話)、キャラクター作成時に、アデプト
(2nd Ed.のフィジカル・アデプト)はフォーカスを購入できません。いや正確
には、買えるんですが bond(ボンド:結び付ける)できません。スペルポイン
ト(2nd のフォースポイントにあたるもの)がキャラクター作成時には絶対に手
に入らないので、どうしようもありません。(他のマジシャンならお金をスペ
ルポイントに換えられるのですが、ルールブックの書き方からみると、それも
できないようです)

 キャラクター作成時に購入できる物品について、レーティングを選択できる
ものはレーティング6以下という条件に加えて、Availability(入手難易度)は
8以下という制限が付きました。

 交渉・対人行為関係のルールが整いました。情報収集や威嚇のルールとかも
あります。(昔のシナリオには必ずついていた Legwork や、Shadowrun 
Companion:Beyond The Shadows からの再録が中心です)
 いかにもサイバー化していますという格好をしているキャラクターは、富裕
層の人間との交渉にペナルティがつくようになりました。
 セキュリティ関連の記述が充実しました。Shadowtech 以降導入された 
Legality(リガリティ:合法度)が標準採用された他、セキュリティ(を破る)の
ルールや、クレッドスティックの詳細説明など、Neo-Anarchists' Guide to 
Real Life からのルールや情報も記載されています。

 キャラクターの移動能力が、1回の手番における移動距離から、ターンあた
りの移動距離に変わりました。各手番時の移動距離は、1ターンの行動回数で
割ったものになります。イニシアティブが高くても反射が良いというだけで、
行動のスピード自体が速くなるわけではないということらしい。(イニシアテ
ィブが高いキャラクターの移動力が 2nd Ed.に比べて大幅に減るので注意しま
しょう)

 戦闘のイニシアティブが、今までの速い奴が何回も行動してから遅い奴が動
くという方式から、全員が1回行動してから速い奴は後から複数回行動を行う
という形になりました。魔法使いには光明かもしれん。
 回避のルールが変わり、ダメージがいくつであろうと、回避の基本目標値は
4ということになりました。これにバーストとかフルオートで修正がつきます。
これでスナイパーライフルも回避できる(!?)。代わりに、回避とダメージ抵抗
の判定を同時ではなくバラバラに行うことになり、カルマプール1点で回避と
ダメージ抵抗両方の失敗を振りなおすことはできなくなりました。

 ダメージがDを超えた際の処理(抵抗の目標値が上昇する)が、接近戦闘や呪
文のドレインなど、一部で追加されました。

 魔法ルールはいろいろ変更が。
 呪文の成功判定は、各呪文のフォースでなく、Sorcery(ソーサリー)技能(魔
術技能)で振ります。
 技能ベースのマジックプールが無くなり、能力値ベースの Spell Pool(スペ
ルプール)に変わりました。仲間の呪文抵抗にプールのサイコロを貸すのが無
くなり、敵の呪文自体の成功数を減らすように Spell Defence(スペルディフ
ェンス:呪文防御)のルールが変わりました。
 スペルディフェンスが若干強力になった反面、アストラルで呪文をインタセ
プトするルールがなくなりました。
 またこれに関連して、「アストラルで呪文を殴って壊す」ルールがなくなり、
代わりに Dispelling(ディスペリング)がイニシエイトしていないマジシャン
でもできるようになった、という点も。

 いくつかの攻撃系の呪文のダメージを、術者が呪文をかけるその場で決める
ことができるようになりました。例えば、マナボルトの呪文を持っているキャ
ラクターは、マナボルトLとか、マナボルトSとか、マナボルトDとかを状況
によって選択できます。
 スペルロックと使い捨てフェティッシュ(呪物)が無くなり、代わりに 
Sustaining Focus(サステイニング・フォーカス:維持フォーカス)と 
Expendable Spell Focus(イクスペンダブル・スペル・フォーカス:使い捨て
スペルフォーカス)が追加されました。Expendable Spell Focus は使い捨てフ
ェティッシュの強化版みたいなもので、ボンドするのにカルマが必要無くて、
呪文の成功判定だけでなく、ドレイン抵抗に使うことも(どちらか一方のみで
すが)できます。

 グラウンディング(アストラル爆撃)ができなくなりました。とは言っても、
アクティベイト(活性化)しているフォーカスをアストラルから殴って壊すとか
はできます。アストラル界と物質界の両方にまたがっていない存在には別の界
からは何もできなくなっただけです。
 この他、アストラル内ではマナスペル(精神呪文)のみ有効ということになり
ましたので、呪文の取り方も考え直す必要がありそうです。
 アストラル・プロジェクション(投射)中のシャーマンがネイチャースピリッ
ト(自然精霊)を召喚するのはできないと明記されました。
 Exclusive Action(イクスクルーシブ・アクション:排他的行動)というのが
定義されて、Conjuring(召喚)とBanishing(消滅)はそれに当ります。これらを
行う場合は、同時に他の魔法的行動を行うことができません。「アストラル・
プロジェクションしている」というのは一つの魔法的行動と見なされるため、
同時にはできないらしいです。

 精霊ですが、エレメンタルが働く範囲が LOS(視界)ではなく、何メートル
(だいたい150mは超える)という距離に変わりました。見張ってなくても働くよ
うになったので、アストラルをガードさせるとかいう使い方が楽にできるよう
になりました。
 ネイチャー・スピリットにも Materialization(マテリアライゼーション:
物質化)(2nd Ed.における Manifestation(実体化))の能力がちゃんとつきまし
た。
 前記したように、精霊のバニッシュ(消滅)はマテリアライゼーションしてい
る精霊にだけできることになりました。アストラルにいる精霊を倒したい時は
殴れ(アストラル・パーセプション(知覚)かプロジェクション(投射)すれば、
アストラル界の存在に殴りかかったり呪文をかけたりできるのは、今まで通り)、
とルールに書いてあります。

 Grimoire から、Elementalist(エレメンタリスト)(旧称エレメンタルアデプ
ト)、アデプトの追加パワー、魔法使いのアストラル体の Manifestation(マニ
フェステーション:顕現)(Grimoire では"visible"と表記されていた)、Ward
(ワード:結界)の作成ルール、が取り入れられています。

 ヴィークルとネットワークのルールは、サプリメント(Rigger2, Virtual 
Realities 2.0)のルールの簡易版になりました。これで、特にネットワークの
ルールは、“サイバーパンク系 RPG の中では”最もリーズナブルなものにな
ったと言えるでしょう。

 ヴィークルのリストに、トラック類が入りました。今まで基本ルールにはト
ラックが無くて、多人数・大荷物での長距離移動を扱う時に困ることがありま
したが、これで基本ルールだけでも安心です。

 装備とサイバーウェアのデータが、Street Samurai Catalog を中心にいろ
いろと追加されました。アルファグレード・サイバーウェアのルールも載って
います。
 銃器の折り畳みストックや着脱式ストックに、レーティング1の反動補正
(Recoil Compensation)効果があることになりました。(ライフル等の形状に含
まれるストックには RC が無いというのはちょっと引っ掛かるのだが)

 NPC やクリッターもプールを使うようになりました。コンバットプールやス
ペルプールはいいとして、「カルマプール」も持っているそうです。(おいお
い)
 これからは敵もサイコロの振り直しとかしてきます。要注意。

 カルマプールの回復のタイミングは今まで通り「シーンごと」ですが、この
「シーン」の定義がされました。大雑把に言って、ほとんどの場合「1シーン
=1セッション」だそうで、次のセッションの開始時点でカルマプールは回復
するということになるようです。
(ただし、遭遇・戦闘が相次ぐ場合には、マスターの判断でセッション途中の
区切り目で回復させても良い、となっている。TORG のアクト(幕)に近いのか
な>「シーン」)
 セッションが始まる前に装備を入手したり、エレメンタルを呼んでおく時は、
使えるカルマプールは前回のセッションの残りということになるでしょう。
 厳しくなったのは確かだけど、わかりやすいわな。

 カルマプールの効果に、いくつか追加がされました。Rigger2 から登場した
オープンテストの振り直しについてとか、目標値の減少(かなり高い目標値に
しか行なえない上、むちゃくちゃ効率が悪い)、実は生きていた(一生に一回限
り)などが追加されています。

 カルマプールの増え方が、人間は総獲得カルマの1/10なのに対し、メタヒュ
ーマンは1/20となりました。
 グッドカルマによる成長では、能力値が上げにくくなり(倍のカルマが必要
になった)、技能が若干上げやすくなりました。

 世界設定では、フチ社がなくなりました。代わりに3つばかり大手メガコー
ポが増えています。AAA ランクのメガコーポ10社がすべて紹介されている他、
シアトルの犯罪組織や地元メガコーポや周辺地域についてなど、シアトルの情
報が増え、Second Edition に比べて世界設定のページ数は目減りしたものの、
情報がまとまっていて使いやすくなっています。
 世界設定についても索引からの検索が、ある程度できるようになりました。

 ところどころ索引や相互参照の参照ページが間違っているのは、まあ予想通
りと言うか…。それでもわりとちゃんとした作りになってます。

 チャートが本文中にバラバラに書かれているので、プレイ中苦労しそう。チ
ャートブックが欲しい。
 キャラクターシートが Shadowrun Companion のものとロゴ以外変わってい
ない。ヴィークルのデータ記入欄に Accel や Sensor の項目が無いんですけ
ど…。デッキのデータ記入シートも無いぞ。Rigger2 や VR2.0 を持ってない
人はどうするんだ? 2nd のキャラクターシートは戦闘時に使うデータが一つ
の面にまとめてあったけど、今度のシートは武器データが裏面になったので、
実際使ってみるとかなり勝手が悪いに違いないとにらんでいます(すでに私は
自分なりに使いやすそうなシートを“切り貼り”して作った)。
 これはもしかして、マスタースクリーンを買えという陰謀かっ。

#いあ、マスタースクリーン必須は間違いないんだけど。クリッターのデータ
#はスクリーンに付属するとルールブックに書かれているし。


 以上のような変更の結果、既存サプリメントのうち、Street Samurai 
Catalog と Grimoire、それに Shadowrun Companion:Beyond The Shadows の
重要度が低下しました。
 特に Shadowrun Companion は、その内容の大半は変更が加わったり、ルー
ルに組み込まれたりしてしまい、さらに優先度まわりの数値変更のためにポイ
ントベースのキャラクター作成ルール(とエッジ&フロー)がそのままでは使え
なくなったので、マンチーな人(Sum to 10システムでサムライを作ったり、追
加種族を使いたがる人)以外にはほとんど必要のないサプリになりました。
(SOTA ルールを使うマスターがいるくらいか) (注1)
 Grimoire と Awakenings にあたるサプリメント "Magic in the Shadows" 
が出ることは既にアナウンスされてますけど、SSC, Shadowtech, Fields of 
Fire, Cybertechnology も同様にまとめて改訂して出す予定だと、ルールブッ
クの SOURCEBOOK UPDATES には書いてありますね。


 総論。
 魔法使い、強くなったねぇ。
 ソーサリーで判定するので、すべての呪文のフォースを6で取る必要が無く
なり、さらに、コンバットスペルの種類が減ったことで、以前よりたくさん呪
文が取れます。(逆に Heal(ヒール:負傷治癒)など、フォース1で取るとほと
んど役に立たなくなってしまった呪文もあります)
 イニシアティブの不利がかなり小さくなりました。その上、グラウンディン
グの危険が無いから、イニシアティブを増やす呪文をサステイニング・フォー
カスにロックしておくことも、わりと気軽にできます。
 サステイニング・フォーカスはスペルロックと違ってフォース1固定じゃな
いので、そうそう壊れません。
 グラウンディングが無くなったのは、フォーカスを使うスタイルがやりやす
くなるので、恩恵が大きいです。(中には勘違いしている人もいるようだけど、
グラウンディングは魔法使いの弱点でした。確かに攻撃にも使えるけど、それ
は弱点を逆手に取っているだけだと)
 精霊にコンバットプールだけでなくカルマプールまであるので、かなり無茶
をさせられます。(プレイヤーキャラクターが呼んだ精霊にカルマプールを与
えるのは、マスターが慎重に考えて決めたほうがいいと思う)
 いいことずくめですね。
(サムライが弱くなったわけでもないのだが)

(Written by Jun Muto / Adviced by Genich! / HTMLized by Jun Muto)

注1: (2002年9月追記) Shadowrun Companion: Beyond The Shadows は 
3rd Edition 用に改訂されたものが出ています。こちらでは、ルールブックで
大幅に縮小されていたコンタクトの例が載っており、コンタクトを通した情報
収集ルールの詳細版が紹介されています。また、登攀、落下、水泳などの基本
ルールブックには載っていない一般的なシチュエーションの処理法もあって、
有用なものになっています。 [元の位置に戻る]
註:これ以上詳細に突っ込んだ3rd解析は、NIFTY SERVE RPGメイン
フォーラムのシャドウラン会議室にて行なっていく予定です。(少
なくともこれからしばらくの間は)
 これは、インターネットでは「著作権等の諸権利」や「製作者へ
の報酬の流れ」への配慮に欠ける活動をされている方々が多く見ら
れ、それらの人々にまで迅速で十分な情報提供を行う必要はないと
考えるためです。

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