あなたは自分のシャドウランのキャラクターにオリジナリティーを持たせたいと思い、キャラクターを自作したことがありませんか? そして、自信満々でマスターにキャラクターシートを見せたところ、「ここ違うよ」と言われたことはありませんか? あるいは、「よし、ここが俺(私)の見せ場だぜ」と勢い込んだところ、マスターに「それ、できないよ」と言われたことは?
この記事はそんなあなたのために、どこに出しても恥ずかしくないキャラクター作成のやりかたをお教えするものです。
まずはシャドウランのルールを把握するための基本的な心構えをお教えしましょう。
「村川忍氏の著作は排除しましょう」
これだけでは何の事かわかりませんね。御説明しましょう。
村川忍氏とは、グループSNEのメンバーで、シャドウラン関係スタッフの一員でいらっしゃいます。この方のシャドウラン関係の代表的著作と言えば「シャドウランがよくわかる本」(富士見書房刊)です。また、「RPGドラゴン」誌(富士見書房刊)に掲載されたシナリオのいくつかに関わっていらっしゃいます。
さて、この「シャドウランがよくわかる本」ですが、実はコンピュータ・ウィルス並みの危険性があります。
その危険性とはいかなるものか? 筆者の調査によりますと、この本には26項目の明白な間違いがあります。これは日本語版ルールブックとの対比における項目数であり、英語版ルールブックなどで確認するとさらに3項目ほどの間違いが存在することになります。文庫本1冊に含まれる間違いとして、これは非常に多いと言わざるをえないでしょう。しかも、この本は「シャドウランがよくわかる本」と題されて売られており、シャドウランを始めようという人の中にはこの本でルールを覚えようとする人もいるのです。もうお解りになりましたね。この本の危険性がどれほどのものか。
あなたが覚えているルールは正しいですか? 「シャドウランがよくわかる本」で覚えた間違ったルールではありませんか? きちんと「シャドウラン[ルールブック]」(富士見書房刊)を読んで、間違っていないかどうか確認しましょう。
さあ、まだ確認することはあります。あなたは、その間違えたルールを友人に教えたり、その恐ろしい本を人に貸したりしませんでしたか? そうやって、“ムラカワ・ウィルス”は人知れず世に蔓延しているのです!
対策は一つです。「シャドウランがよくわかる本」やRPGドラゴン誌のシナリオはきれいさっぱり忘れてください。今すぐにルールブックを読み込みましょう。さらに、「シャドウラン私家版エラッタ」を読めばウィルス対策は完璧です。
勢い込んであなたのオリジナリティあふれるキャラクターを作ろうとしたが、ルールを知らないので作れない。そんな愉快な方はいらっしゃいませんか?
ルールを知らなければ、キャラクターは作れません。「RPGはルールを無視してもいい」と言う方もいらっしゃいますが、無視して“もいい”というだけであって、「まったくきれいさっぱり白紙答案並みに知らなくてもいい」とは誰も言っていないんですよ。
そういうことですので、キャラクターを作る前にルールブックを読みましょう。これは大事なことですから覚えておくべきです。(人に教えてもらってもいいのですが、ルールを一から説明するのは時間がかかりますし、その方の記憶が間違っていた場合は大変ですので、できるだけ自分で読みましょう)
それが嫌な人は、「働かざる者、食うべからず」です。アーキタイプ・キャラクターを文句を言わずにプレイしてください。
さて、本題に入りましょう。
エッセンスは0にしても構いません。(日本語版ルールブックp.41より『エッセンスが0を下回ると、キャラクターは死んでしまいます。』 繰り返します。『下回ると』です。“以下”ではありません)
なお余談ですが、0になると発狂するとかいうこともありません。そう思っていたあなたは“ムラカワ・ウィルス”に感染している疑いがあります。
魔法能力を持たないキャラクター(メイジ、シャーマン、各種アデプトのどれでもないキャラクター)は魔法能力値を持ちません。0でもありませんので、注意してください。
例)「魔力 -」または「魔力 」(空白)または「」(書かない)
サイバーウェアや魔法で強化した能力値は、丸括弧「()」で囲んで書いてください。プレイ中に強化前の値を使うことがありますし、成長の時は強化前の値を元に消費するグッドカルマを算出するからです。
特に反応力とイニシアティブは括弧書きにするのを忘れやすいので注意してください。(アーキタイプのイニシアティブは強化後の値のみを書いてありますので、イニシアティブだけは強化前の値を書かなくてもよいでしょう)
例)強靱力5を皮膚装甲1で強化した場合。「強靱力 5(6)」例2)反応力4を強化反射神経2で強化した場合。「反応力 4(8)、イニシアティブ 4+1D6(8+3D6)」
または 「反応力 4(8)、イニシアティブ 8+3D6」
人工筋肉で強化した敏捷力は、反応力に影響を与えません。反応力の算出は、人工筋肉の修正を除いた値を元に行なってください。
例)敏捷力3、知力4のキャラクターに人工筋肉1を埋めた場合。「敏捷力 3(4)、知力 4、反応力 3」
サイバーリムで強靱力が+1されるのは、1組(2本)置き換えた時です。100,000新円で買えるサイバーリムは1本のみですから、それだけでは強靱力は増えません。強靱力を増やしたいのなら、200,000新円払いましょう。
フィジカルアデプトのパワーでは、サイバーウェアとは違い、強化前の値は書かずに、強化後の値のみを書いてください。これは、成長の時に強化“後”の値を元に消費するグッドカルマを算出するからです。(ただし、治癒/蘇生関係の判定では強化前の値を用いることがあります)
強化前の値だけを書いて、強化後の値を書き忘れたりしないようにしましょう。
なお、マスターの手間を省くためにも、キャラクターメモ欄などに持っているアデプトパワーの一覧を書く際に、何点の能力値を何点に上げたのかまで詳しく書いておいてください。
例)敏捷力5を能力強化:敏捷力+1で強化した場合。「敏捷力 6」 「パワー:能力強化:敏捷力5→6」
礼儀作法は常に集中化される技能であり、一般技能はありません。
例)礼儀作法(ストリート)に3ポイント割り振った場合。「礼儀作法(ストリート) 4」 (絶対に「礼儀作法 2/ストリート 4」と書いてはいけません。「礼儀作法」という一般技能は存在しません)
フィジカルアデプトのパワー「技能強化」で増加した分は、それとわかるように書いてください。他の技能の代用として用いる際に増加ダイスは減りますし、成長の時には強化していない値を元に消費するグッドカルマを算出するからです。
例)素手戦闘技能6を技能強化で+4した場合。「素手戦闘 6(+4)」
スキルワイヤで同時に使える行動ソフトのレーティングの合計は、スキルワイヤのレーティングまでです。
例)スキルワイヤ3の場合。スキルワイヤに標準で付いているチップジャックの他に、チップジャックやメモリを用いて、複数の行動ソフトを用いることができますが、そのレーティングは、3を1個、2と1で2個、1と1と1で3個のうちいずれかの組み合わせしかできません。
キャラクター作成で余ったお金は、10分の1して、3D6×1,000新円を足してください。
例)キャラクター作成で3,600新円余った場合。所持金は3,600÷10=360新円に、3D6の結果(ここでは9が出たとしましょう)の1,000倍を足します。
「所持金 9,360新円」
友人はキャラクター作成時には1人しか買えません。
重量によるペナルティのルールが日本語版ルールブックp.195「物を運ぶ」で説明されています。読んでください。
p.276の「スマートガン(内部)」の行は、ほとんどの項目が記載されていませんが、重量のところだけは『0.5』と明記してあります。お忘れなきよう御注意願います。
銃などに補器類を付けた場合、隠蔽度が変化することが多々あります。この計算を忘れないようにしてください。
なお、隠蔽型ホルスターによる修正を加えた隠蔽度は丸括弧「()」で記述し、補強コートによる修正は記載しないようにしてください。これらの修正が適用されるかどうかはマスターが判断します。
いくつかの銃器には、最初から補器が取り付けられています。そのため、一部の補器が取り付けられないということもありますので、事前に銃器の解説(日本語版ルールブックp.257-260)を読んでおいてください。
ミニ・グレネードには攻撃型、防御型、鎮圧型の3種類が存在します。この区別を明記するようにしてください。
手榴弾には攻撃型、防御型、鎮圧型の3種類が存在し、それぞれに空力型と非空力(標準)型の2種類が存在します。つまり、手榴弾には全部で6種類のタイプが存在します。この区別を明記するようにしてください。
炸裂弾を使用して上がるのはパワーレベルです。ダメージレベルではありません。
例)アレス・プレデター(ダメージ9M)に炸裂弾を用いた場合。ダメージは10Mとなります。(9Sではありません)
アーマーを重ね着しても効果は増加しません。複数のアーマーを着た場合は対弾、対衝撃防御共に最も高いレーティングが有効になります。(ヘルメットは例外で、他のアーマーのレーティングに加えることができます)
例)アーマー・ジャケット(5/3)と補強コート(4/2)を着た場合。対弾防御5、対衝撃防御3となります。例2)アーマー・ジャケット(5/3)と補強コート(4/2)とヘルメット(1/1)を着た場合。対弾防御6、対衝撃防御4となります。
錬金術書には「魔術書」「召喚書」「魔法理論書」の3種類があります。それぞれの役割については日本語版ルールブックp.125を御覧になってください(「シャドウラン私家版正誤表」の項目「P.201 中段4行目」も重要ですから、あわせて御覧ください)。また、媒体の違い(紙、CD、チップ)もありますので、錬金術書には全部で9つの種類が存在することになります。
単独呪文や呪物使用呪文の指定をして呪文のフォースを上げた場合、キャラクターシートには、「呪文のフォース+呪物ボーナス(制限の内容)」と記載してください。たとえフォースを低くして呪文を用いたとしても、その制限を外して呪文を唱えることが絶対にできないためです。(マスターの解釈にもよりますが、最大のフォースが6までと記載されていますので、キャラクター作成時のフォースは、制限による修正を加えた後の値が6以下でなければならないと考えられます)
マスターにわかるように、単独呪文、使い捨て呪物使用呪文、再利用可呪物使用呪文の区別を明記することを忘れないでください。
例)魔力破をフォース4で取り、使い捨て呪物使用呪文にした場合。「魔力破 4+2(使い捨て呪物)」と明記してください。
たとえこれをフォース1扱いで唱えても、使い捨て呪物を使用しなければならないことに変わりはありません。
魔法使いはそのタイプによって行なえることに大きな違いが出ます。その種別がマスターにわかるように、はっきりと記述するようにしてください。以下に記述のための分類と、各分類の記述のガイドラインを示します。
シャーマン:トーテムを書く(都市/原野の区別も書く)
メイジ
マジカル・アデプト:ソーサラー/コンジャラー、シャーマニック(巫術魔法派)/ハーメティック(錬金術魔法派)の区別を書く。シャーマニックの場合はトーテムも書く(都市/原野の区別も書く)
シャーマニック・アデプト:トーテムを書く(都市/原野の区別も書く)
フィジカル・アデプト:取ったパワーを明記しておく(特に能力値を強化した場合は、レーティングを何点から何点に上げたのか、はっきり書く)
例)マジカル・アデプトの“コンジャラー”で、巫術魔法派(シャーマニック)、都市のトーテム“蛇”、の場合。「シャーマニック・コンジャラー(蛇(都市))」
または 「ストリート・シャーマニック・コンジャラー(蛇)」
収束具や呪文固定具をキャラクターに結び付けるためのカルマの計算方法が日本語版ルールブックp.137に載っていますが、キャラクター作成時にはグッド・カルマの代わりにフォース・ポイントを消費します。呪文を取る際には、収束具類への配分ポイントも計算に入れておきましょう。
キャラクター作成時には「(プレイヤーの意志で決定できる)(修正前の)レーティングは6まで」という制限があります。これは技能や呪文、サイバーウェアに限らず、バグ・スキャナーやマグロック、ジャマー、ショットガン・マイク、スラップ・パッチ、弓の最低筋力、ケムスーツなどにも適用されます。
(例外的に、呪文のフォースに関しては「修正後のレーティングが6まで」とされています)
キャラクターが出来上がったからといって油断してはいけません。
最後にもう一度確認をしてください。
作成時にはいろいろなことを考えながらやりますから、途中でやめたり、付け足したりしたことと思います。その辺の消し忘れなど、修正し忘れている部分がないかどうか確認してください。やめたはずのサイバーウェアによる能力値の増加が残ってないかどうかや、アデプトパワーの取り過ぎや不足がないか、銃の補器やサイバーウェアなどで併用できないものを組み合わせていないか、○○を使うのに必要な××を取り忘れていないか(例:メイジは元素精霊召喚に召喚書と召喚素材が必要)、お金やフォースポイントが適切に減らされているかなどが重点チェックポイントです。
この項目はマスター向けの情報です。
初心者が作ったものに限らず、フィジカル・アデプトは要注意です。特にシャドウラン初心者の場合、最低でも2ヶ所は非常に愚かなミスを犯していると決めてかかったほうがいいでしょう。
フィジカル・アデプトを作る初心者の8割が「覚えるルールが少なくてよいと思ったから」、残り2割の大半が「個性的なキャラクターを作りたかったから」と、どちらにしても安易な甘い考えでキャラクターを作っています。覚えるルールの量はストリート・サムライ系とほぼ同じですし、お手本となるアーキタイプが無いため間違いに気づきにくいと、実際には良いことばかりではありません。しかも、シャドウラン初心者には「フィジカル・アデプト=格闘家もどき」のイメージが強く、どうにもほぼ同じような個性のキャラクターを作ってしまう傾向があります。
このような安易な気持ちで作ってミスが出ないはずがないと断言してもよいでしょう。要注意です。
ここまで読んだ方ならお気づきのことと思いますが、実際にはこの記事は「初心者プレイヤーを相手にするマスターのための自作キャラクター・チェック講座」といったほうがよいでしょうし、そのような使われ方をされることが多いと思います。ルールブックすら読みたがらない方々が、このようなものを読んでくださるとはとても思えませんから。
わがままにもキャラクターを自作したいとほざく初心者プレイヤーをこれから相手にするマスターの方々には、心よりお悔やみ申し上げます。あなたの努力が水泡に帰することのないよう祈ります。
つらいと感じたら、その時はやめてしまったほうがいいです。シャドウランを布教するといっても、翻訳サプリメントの1つも出さない横着なグループSNE様と富士見書房様のために何かしてあげる必要はまったくないでしょう。そんなことをするくらいでしたら、FASA社の出している英語版ルールブックやサプリメントを買って、それに付き合ってくれる人と一緒に、心から本当に楽しんだほうがいいと思いますよ。RPGの将来のためにも、使えないわがままなガキを何人も増やすより、本当にRPGをやりたいと思う1人の人間を大切にしたいですね。そう思いませんか?