2018年11月、Kultの第4版ルールブック「KULT: Divinity Lost - 4th Edition Core Rules」が発売されました。Kultでは初めて電子書籍版(PDF)も発売されています。電子書籍版があることですぐに絶版や入手困難になってしまう不安はかなり軽減されると思います。
ルールは第3版以前とは大きく変わりました。Lumpley Gamesの「Apocalypse World」を元にした Powered by the Apocalypse (PbtA。別名Apocalypse World Engine) をアレンジして使用しています。(参考: Powered by the Apocalypse - Wikipedia英語版)
2004年1月、Kultの第3版ルールブック「Kult - Beyond the Veil」が発売されました。長らく続いていたルールブックの入手困難な状態がようやく解消されそうです。
まず、手に取った印象としては、表紙がすげー渋いです。RPG のルールブックとは思えん。
(白・黒・銀の3色でまとめられている。人のシルエット写真が並んでいるんですが、微かに口元に光が当てられている写真がいくつかあって、笑っていたり、泡を吹いていたりします)
表紙の片隅に小さく書かれている "REALITY IS A LIE" の文字など、初版と変わらず飛ばしている雰囲気も感じられます。
初版で話題になった「16歳以上向け」の記述ですが、二版の表紙にも "for mature players (大人向け)" という文言が見えます。(数字の上での年齢ではなく、精神的に成熟しているかどうかが重要ということなのでしょう)
ぱらぱらとめくってみたところ、アートディレクションは非常に良いです。若干デッサンの狂いが見られるイラストはありますが、全体のトーンが統一されており、グロいというかエグい絵が並んでいます。(ちょっとスプラッタがかっている)
フォントの使い分けも良く、各章頭の小説風の文章に擬筆記体、本文中重要な部分をタイプライタ体やボールド体という感じで、読まなければならない部分に (日本人にとっても) 見やすい文字を割り当ててあります。そのためか、かなり読みやすい印象を受けます。
文字はかなり小さいんですが、米国製 RPG にありがちな印刷の粒子の粗さがなく、日本の雑誌並みに印刷が綺麗です。
全体的にページ構成は非常に綺麗です。しかし、チャートが関連ルールの側にしかなく、一ヶ所にまとめられたものがないため、マスターはチャート集かマスタースクリーンを自作する必要がありそうです。(二版対応のマスタースクリーンは今のところ予定に上がっていません)
初版ルールブックの構成と同様のパート分けも健在ですが、話に聞いていた初版に比べるとわりと普通のゲームのものに近くなっているようです。
やはり、プレイヤー向けパートが、"THE LIE" (嘘、虚構) となっているのが、このゲームのすべてを物語っていると言えるでしょう。
実際のプレイには、キリスト教関連の知識とかが無いと、少々つらいかも知れません (特に the truth の部分を使用することになると)。逆に、真・女神転生II TRPG などで宗教ネタを中心に非戦闘系のプレイをしている人とかは、Kult のほうがプレイ指向に適しているかもしれません。
(サプリメント "LEGIONS OF DARKNESS" があると、キリスト教以外の宗教関連の存在も多数追加されます。ハンブルクのナイトクラブで踊るシヴァ神…など、かなり多種多様です)
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あと、出版社の記述なんですが、少し分かりにくくて、店によっては Target Games AB を出版社としているところもあるかもしれません。どうやら、製作 Target Games AB、発売 Metropolis Ltd、販売 Heartbreaker Inc ということみたい。
(ちなみに、ISBN もバーコードもついていません。日本国内ではかなり手に入れにくいと思われます)
(ゲーム製作者たちや当ページの筆者は、宗教的な信条を表明したり、読者に信条を伝えようとしているわけではないことを付記しておきたい。これは単に、このロールプレイングゲームの設定にすぎないのである。)